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 Diary 2002・9月6日(FRI.)

ショウヘイくん
『神聖喜劇』を読む

 オオヤさん来店。「もうホンマ、全共闘の連中には騙されたわ。ボクなんか、13 歳ぐらいの時から真剣にそのことを考えて、考えすぎて夜も眠れないことも何度もあったのに、突っ込めば突っ込むほど、あんなものまやかしやという事実ばかり出てきて。ボクの 20 年間は何やったんや、と思うと、今度はその怒りで夜も眠れない。自分の中で、はやく総括しないと、次にすすめないわ」と言って、荒岱介『大逆のゲリラ』を読んでいた。

 ショウヘイくんは大西巨人『神聖喜劇』の 1 巻を読了したらしい。「いや、面白いです。とても面白いです。なんていうか、主人公の東堂太郎に、自分の立場を重ねてしまうんですよね。ボクは、建築家になろうと思ってそういう大学に行きましたが、在学中に自分には建築家の才能がないことに気付きさりとて働かない訳にはいかないので、仕事はお金のため、と割り切って、ある意味自分を殺して、ゼネコンに入ったんです。で、ボクの入ったゼネコンが、同期の連中も上司も、ほとんど高卒なんです。そういった感じがね…やっぱり、東堂太郎の立場に重なってしまうんです。」

 東堂太郎は、戦前は反戦の意を持ち左翼活動に関わっていたが、時代の流れから自らを殺し、虚無的な考えを抱きながら軍隊に入る。が、そこでは上官を含めほとんどが農民あがりであり、東堂太郎だけがダントツのインテリだったのである…。といった感じが、ショウヘイくんの胸に響くのであろう。なんにせよ、ぜひとも全 5 巻を読破してほしい。

 おっと、時間がないので今日はここまで。

小川顕太郎 Original:2002-Sep-8;