Diary 2002・10月20日(SUN.)
熱燗と
鍋焼きうどん
マツヤマさん来店。マツヤマさん曰く、「ボクは夏でも熱燗だよ。そういうと驚く人が多いけれど、クーラーのきいた部屋で飲む熱燗が、またおいしいんだよ」。なるほど。それは冬に暖房のきいた部屋で食べるアイスクリームみたいなもんですか。ところで、このようなマツヤマさんだが、実は熱燗のみではなく、夏に鍋焼きうどんを食べるのも好きなのだそうだ。
今年の夏、家の近所の居酒屋で、マツヤマさんは熱燗と鍋焼きうどんを注文した。店の人は、鍋焼きうどんという注文に少し驚いたようだったけれど、ちゃんと作って出してくれた。それ以来、いつもそこで熱燗と鍋焼きうどんを注文するようになったマツヤマさん。ある日、またしても熱燗と鍋焼きうどんを注文すると、隣に座っていたオヤジが驚いた様子で、「なんや、にいちゃん夏に鍋焼きなんか食うんかいな」と声をかけてきた。マツヤマさんは涼しい顔で好奇の目をやり過ごす。で、出てきた鍋焼きうどん。すごく旨そうだ。マツヤマさんは汗を流しながら、熱燗を飲み、鍋焼きうどんをすすった。それをジーッと見ていた隣のオヤジは、思わず店の人に、「お、おい、大将、ワシにも鍋焼きひとつくれへんか」。ところが店の人の言うのには、「すんまへん、今、鍋ひとつしかありまへんねん」。夏なので、いつも食べるマツヤマさん用しか、鍋が用意されていなかったのだ。
「隣のオヤジ、すごく残念そうなの」と嬉しそうに笑うマツヤマさん。
うーん、面白い。何がどうということはないが、とても面白い話だ。だから、ここにこうやって書き留めておきます。
小川顕太郎 Original:2002-Oct-22;