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 Diary 2002・5月12日(SUN.)

天気のせいか

 今日ははじめて! 15 時を過ぎるまでお客さんがひとりも来なかった。こ、これでは営業時間を変更した意味がない! ワダくんが窓の外を見ながらポツンとつぶやく。「きっと、天気が良すぎるんですよ。」

 そうか、天気がいいので、みんな外にいる、室内なんかにはいない、という訳だな。確かに、今日は鴨川沿いなんかに居ると、気持ちよさそうだ。でも、このあいだは、確か「天気が悪すぎる」からお客さんが来ない、とか言っていなかったか? 「曇りがいいんですかねえ。」

 …ほんまか?

 ちなみに 15 時を過ぎるとバタバタっとお客さんがやってきた。天気は、関係あるのか?

 ヤマネくん来店。携帯電話を真剣にみつめている。なんでも、1 球ごとに更新される、野球のサイトを見ているのだそうだ。見ているのは、もちろん阪神タイガース戦。

「ああ! 阪神負けてるやん!」

「あ、でもワンアウト満塁、バッターは桧山だ!!」

「うわー!! ゲッツー!! 最悪ー!!!」

 …といった具合。えらい騒がしい、というか楽しそうだ。みんなこのように携帯電話で遊んでいるのだろうか。そうだ! きっとそれで誰も外に遊びに行かず、店にも来ないんだ。って、ヤマネくんはちゃんと来てくれているやん。危ない、危ない。暇だと様々な妄想にかられるからなあ。

 お客さんが来ないかなー、と窓の外を眺めていると、旧式だがピカピカの黒塗りキャデラックが店の前に止まり、中から全身黒ずくめの男達が 3 人おりてきて、店にやってきた。彼等の服装は完璧で皺ひとつないが、動きがどことなくぎこちない。彼等のうちの一人が私のところに寄ってきて、私が昨日目撃した光る円形の物体について質問をはじめた。何故それを知っているのか! あの話は誰にもしていないはずなのに…と狼狽する私を冷たくみつめながら、その全身黒ずくめの男は「奥さんに綺麗なままでいてもらいたかったら、金属を取り戻すんだな」と脅迫しはじめた……あああ! やばい! 妄想が暴走している!!

 すべて、天気のせいか。

小川顕太郎 Original:2002-May-14;