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 Diary 2002・3月19日(TUE.)

騙されませんよー

 ナカムラくん来店。ナカムラくんはこの 3 月で大学を卒業し、4 月から就職して働くことが決まっている。自動車のディーラーだ。頑張れよ! と励ましてやりたいところだが、私はこの地球上からもっと自動車の数を減らすべきだと考えているので、素直に励ます気になれない。とりあえずナカムラくんには、『クルマを捨てて歩く!』杉田聡著(講談社+α新書)の一読を勧めようかなと、頭の中で思った。

 ところでナカムラくんは、ここ最近で 18 キロも太ったそうで、「痩せなくては」と焦っている。「でもストレスのせいか、どうしてもバクバク食べてしまって、ちっとも痩せられないんですよねー」とナカムラくん。そこで私は、逆にもっと太ったらいいんじゃないか、と提案した。「い、イヤですよ! デブなんて!」。そんな、デブを毛嫌いするもんじゃないよ。例えば、ジョン・ベルーシなんて、かっこいいじゃないか。どう、ブルースブラザース。

「ああー確かに、ベルーシはかっこいいですよね。…は! だ、騙されませんよ!」

 それにナカムラくんは黒人音楽が好きな訳だし、黒人にはデブでかっこいい人がたくさんいるよ。どう、ビギーとか。

「うーん、確かにそうですよねえ…だ、騙されませんよ!」

 ノーザンの世界でも、デブなおやじ達は健在だよ。デブでも踊ったら凄い、スピンもよくまわり、アクロバットもダイナミック、となれば、もうソウルサバイバーズでもフロアのスターになれるよ。

「そうなんですけど…だ、騙されません!」

 さいわい日本には相撲という伝統文化があるし、どっかの部屋に入門したら、股も割ってくれるし、デブにもしてくれるよ。これでバックダウンも完璧だ。

「なるほどねえ‥‥だから、騙されませんってば!!」

 と、いっこうに私やトモコの言うことを聞こうとしない。しかし、なーんか誰かに似ているよなあ、この感じ。私やトモコに対して、「騙されませんよー」と言い張っていた奴がいたなあ……あ、昔のオイシンだ。

 ナカムラくんは、CD を 6 枚も借りて帰っていった。

小川顕太郎 Original:2002-Mar-21;