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 Diary 2002・3月2日(SAT.)

消えた
4千円の謎

 店が終わってお金の計算をしていたトモコが「4 千円足りない! きっちりと 4 千円足りない!」と騒いでいた。色々とチェックをしたのだが、やはり 4 千円きっちりと足りない。ううむ、と考え込んだ私の頭に、フッとある事が浮かび、私は愕然とした。…その事を以下に書くが、あらかじめ断っておくと、これはなかなか興味深い話なので日記のネタとして書くのであって、この事と 4 千円不足の件が、直接関係あると断定した訳ではない。たとえ真相がどのようなものであろうと、手落ちは我々側にある、と宣言して、さて話を書く。

 あるお客さんの会計を、私がした。そのお客さんは 1 万円札を出し、私は 9 千円をお釣りとして渡した。その時に、私は 5 千円札 1 枚と千円札 4 枚、合計で 5 枚のお札を渡した。「ありがとうございました」と私が言い、そのお客さんは帰りかけたのだが、クルリと振り返り「あの、ちょっとこれ…」と言いながら、まだ財布にしまっていず手に持ったままの、私から渡されたお札を、私に見せた。

 すると、なんと! お客さんの手には千円札が 5 枚あるではないか! 私は最初、お客さんの見間違いだと思い、その 5 枚のお札を受け取って、そのうちの 1 枚が 5 千円札である事を指摘しようと思ったのだが、どうみても、千円札が 5 枚なのだ。

 次に私が考えたのは、5 千円札をレジからとるつもりで、間違って千円札をとってしまったのではないか、という事で、レジを開けてチェックしてみたのだが、そこには 5 千円札は 1 枚もなかった。レジには確か、5 千円札が 1 枚あったと思うのだが、実は記憶がはっきりしない。そこらへんに落としたかな? と思い、探し回ったのだが、ない。あんまりお客さんを待たすわけにもいかず、もしもの事(私の目に 5 千円札が千円札に見えている)を考えて、その千円札 5 枚はこちらにうけとっておいて、あらためてレジから千円札 9 枚をお客さんに渡した。お客さんが帰ったあともしばらく考え込んでいたのだが、忙しさにとりまぎれて忘れてしまった…。

 この話からは、まるでそのお客さんが 4 千円を騙し取ったような印象を受けるかもしれない。が、私はそう思いません。私には一切の確証はありません。私の解釈は、私がお金をお客さんに渡した時に、5 千円札が千円札に化けてしまった、というものです。ということは、その逆もあり得る訳で、今日は財布の中の千円札が、みんな 5 千円札に化ける事を願いつつ、真剣に願いつつ、寝ます。お休みなさい。

小川顕太郎 Original:2002-Mar-4;