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 Diary 2002・6月9日(SUN.)

日本が勝ったの?

 見事なまでのワールドカップ不景気に見舞われ、19 時を過ぎた頃からお客さんが払底、誰もいない店内で「鼈」という漢字の練習をしたりする。すると、どれぐらい経ったのか、突如として外から歓声が聞こえ、窓の外をみると、若者どもが騒いでいる。ボールを蹴っている奴もいる。これは…日本がロシアに勝ったのか!? 勝ったらしい…。なんという事をしてくれたのだ。これではさらにワールドカップが盛り上がってしまうではないか。困るんだよ、それじゃあ。なんとかならないのか。

「あれ? 店主は愛国者じゃなかったんですか? 日本が勝っても嬉しくないんですか?」

 確かに、私は愛国者だが、別にオナニストじゃないんだよ。もともとサッカーには興味がないので、日本が勝とうが負けようがどうでもいい。サッカーに興味もないくせに、「日本のチーム」というだけで、そこに自己を投影させていたら、そんな奴はダメだと思うよ。

「そうですかー? でも、日本中の人が一体感を持って勝利を祝い合っているのは、美しい光景じゃないですか。」

 そんなの周りに流されているだけじゃないか! 気持ち悪いって。そういう連中が、真の愛国者・田中角栄を首相の座から引きずりおろしたんだよ! まあ、流されるだけの大衆は仕方がないとして、それを煽ったマスコミは国賊だよ! テレビに出ている連中は国賊だらけだ!!

「最近、大丈夫ですか? …えー、まあ、店主は要するに、みんながいっせいに騒いでいるのがイヤなんでしょう。ファシズムみたいで。」

 そんな単純なもんじゃないよ。ファシズムも、そう捨てたもんじゃない。人間には必ず、ある種の規律が必要だから、なにか束ねるものは必要だよ。ただ、それがスポーツじゃなあ…。

「それじゃあ、何ならいいんです? どんな時に、みんながひとつになって喜んでも、店主はイヤじゃないんですか?」

 そりゃ、戦争に勝った時とか、皇太子殿下がお生まれになった時とかだよ。だいたい、サッカーに勝ったぐらいで喜んでいる場合じゃないだろ、日本は。今げんに闘いつつある戦争に勝ち抜け! そして何よりも、敗戦国としての汚名をそそぐのが肝要だ!!

「店主もそんな事を言っている場合じゃないでしょ。今げんに闘いつつある戦争に勝ち抜け!! お客さん、誰もいないじゃないですか。」

 あああ! その通りだあー!!

小川顕太郎 Original:2002-Jun-10;