Diary 2002・2月23日(SAT.)
老人
朝から野暮用があって祖父・祖母の家に行く。祖父はまた元気を回復していて、ひとりで近所をウロウロできるようになっていた。ダイエーの再建に協力するつもりか、近所のダイエーで様々なものを買い込んでくるそうだ。また、精神が子供に戻っているのか、例えば麻雀をやっている時など、平気で見え透いたズルをするという。みんなの見ている前で、牌をすり替えたりするそうだ。うーむ、やはり老人は子供に戻るのか。
ところで「子供に戻る」とはどういう事であろうか。それは、日本においては特に、世間と切れる・世間体を気にしなくなる、という事だろう。子供は、「世間」というものが分かっていないので、世間体がなく、平気で人前で泣き叫んだり、傍若無人に振る舞ったりする。世間体を気にするようになれば、子供は卒業だ。では、私の祖父は世間体を気にしなくなったのであろうか。
いや、どうもそんな事はないようだ。麻雀の件はさておき、ダイエーで買ってくるもののなかに、ジャンパーが何着もあり、家の鏡の前でそれらを取っ替え引っ替えして着ている、というではないか。お洒落、それは世間体を気にすること、他人の眼を気にすることだ。私の祖父は、まだまだ子供に成りきった訳ではない。子供になった老人というのは、日本では神さまみたいなものなので、もう死んだも同然である。祖父にはもっと長生きをして貰いたいので、まだ子供には成って欲しくない。もっとお洒落を、お願いします。
あー、疲れた…。
小川顕太郎 Original:2002-Feb-24;