Diary 2002・12月20日(FRI.)
ムカデ
テラダさん & アサノさん来店。テラダさんの持っていた印材を見せて貰う。印材とは、篆刻で字を刻み込む石のことだが、別に何も字が刻されていないとしても、石そのものを愛でる、という態度が文人にはある。別に文人に限らなくても、石を愛でる人達というのは居るのだが、確かに、石にはなんともいえない魅力がある。が、その魅力にはまると、泥沼だったりするのだから、大変だ。石愛好者の中には、自ら採掘に行く人達もいるが、文人達の多くは印材を求めることになる。そこは骨董趣味や伝統が絡まった、ジャングルである。
「テラダさん、これ、いくらで買ったんですか?」
「ああ、それは 8 万円。善伯洞」
「うーん、けっこうしますねえ」
「でも、ボクは中国人から直接買ったりしているから、安くで手に入れている方だよ。オガワくんも上海に行ったら、買ってきたらいいよ。こっちで 30 万円以上する石が、10 万円以下で買えるから。でも、偽物も多いけど」
「いやあー、ちょっと、それは…」
と、いった具合。
テラダさんの話はまだまだ続いたが、気が付けば、食べ物の話になっていた。
「ムカデはめっちゃおいしいよ。いや、ほんま。出てきたら、大喜びするもん。捕まえて、ソテーにして食べるねん。海老と蟹と雲丹を混ぜたような味がする。ボクは蛋白質の中では、2 番目に好きかなあ」
「じゃあ、1 番好きなのは、何なんですか?」
「山羊の脳味噌。これがうまいねん。河豚の白子より、ソフトシェルよりうまい。最高」
「はー、テラダさんは色々と食べていますねえ。」
「あと**は不味かったな。胸のところなんて、スルメみたい。★★も不味い。だいいち、なかなか死なへん。バットで思いっきりしばいても……」
「テ、テラダさん、それって多分……」
私は猿の脳味噌が食べてみたいです。
小川顕太郎 Original:2002-Dec-22;