オースティン・パワーズ
ゴールドメンバー
MOVIX に『オースティン・パワーズ ゴールドメンバー』を観に行く。映画『オースティン・パワーズ』シリーズの第 3 弾だが、この映画は第 1 弾、第 2 弾ともに素晴らしく、それぞれその公開年の個人ベスト 1 に選んだぐらいだから、この第 3 弾は待ちに待った 1 本だ。
しかも今回はヒロイン役がビヨンセ! で、舞台は 70 年代、役名がフォクシー・ブラウン(パム・グリア)とクレオパトラ・ジョーンズ(タマラ・ドブソン)を合わせた「フォクシー・クレオパトラ」というんだから、いやがうえにも期待は高まる。MOVIX のチケット売り場の人の「そこは前すぎて見上げる形になりますが」という言葉を無視し、最前列に陣取って映画に臨んだ。イエー! ベビ、イエー! ……面白かった。じゅうぶんに面白かった。でも、前作、前々作に較べると落ちる、というのも否定しがたい事実。はっきり言って、ちょっと散漫。うーん、まあ、別にいいんだけどね、じゅうぶん面白いから。
残念なのは、「70 年代(セブンティーズ)」というのが、ほとんど活かされていないということ。「70 年代(セブンティーズ)」ということでは絶対にはずせない、カンフーやファンクの要素がほとんどないし。ビヨンセもあんまり活躍しないし。思うに、マイク・マイヤーズは、「60 年代(シックスティーズ)」ほどには「70 年代(セブンティーズ)」に思い入れがないのでは? 前作、前々作では、失われた「60 年代(シックスティーズ)」の輝きを取り戻そうという強靱な意志がみられ、ギャグ映画なのに胸にグッと来るものがあった。が、今作では、「70 年代(セブンティーズ)」というのは素材に過ぎず、最初から最後までみんなで馬鹿騒ぎをしているだけ、という印象だ。ま、いいんだけどね。
あ、それから、字幕で「PIMP」を「ヒモ」と訳していたのはいただけない。まあ、「ヒモ」という意味合いもあるんだけれど、やはりここは「ポン引き」あるいは「女衒」と訳すべきでしょう。「PIMP」は 70 年代のブラックムービーのヒーローなんだから、そこら辺ももう少し…というのは、ないものねだりかな。
どんな映画もシリーズ化すればパワーダウンする。これは仕方がない事かもしれない。が、この程度ならまだまだいける。オースティン・パワーズにはもっと頑張って、ずっとシリーズを続けてほしい。今作で個人的に最高のシーンは、獄中でドクター・イーブルとミニー・ミーが、ジェイ・Z の曲をパロって歌っている(ラップしている)ところ。次回はこの路線をなんとかできんか?
帰りに「力哉」という名前の居酒屋に行く。そこには橋本龍太郎の色紙と並んで、なぜか「剣」と書かれた三島由紀夫の色紙が。うーん、謎だ。お酒を飲んで蕎麦を食べて、帰る。
小川顕太郎 Original:2002-Aug-31;