若者のすべて/赤い砂漠
京都駅ビル劇場シアター 1200 に、ルキーノ・ヴィスコンティ監督『若者のすべて』(1960 年)とミケランジェロ・アントニオーニ監督『赤い砂漠』(1964 年)を観に行く。
『若者のすべて』は、“赤い貴族”と呼ばれたヴィスコンティが貧乏人を描いた最後の映画で、この後、ヴィスコンティは貴族の世界を描きまくることになる。私としては、やっぱり貴族の世界を描いたヴィスコンティ作品の方が好きだ。映画通を気取る人達は、初期のヴィスコンティを褒めますが。
この『若者のすべて』も、面白いといえば面白いし、良い映画だといえば良い映画だが、そこまでの感銘は受けず。ただ、アラン・ドロン演じるロッコのエセ君子ぶりがなかなか楽しめる。私とトモコは、お互いに心の中で「この堕天使セルジュめ!(『風と樹の詩』です)」と叫んでいた。この手の人間が一番質が悪い。私の敵だ! と憤慨していたら、ババさんに「でもそういう最低の奴を演じているアラン・ドロンはよかったでしょ。」といった事を言われ、それはそうだと納得する。アラン・ドロン最高!
『赤い砂漠』は、むかしテレビで観たことがあり、その時に「ああ! これは何としてもスクリーンで観たい!!」と思ったのだが、その念願がかなったことになる。この映画は、いかにもアントニオーニらしい、ストーリーらしいストーリーのない、映像で語る映画なのだ。やはり私の思った通りで、スクリーンで観た今回の方が圧倒的によかった。最初の工場のシーンから、もうあっけにとられるぐらい恰好よいシーンがあとからあとから出てきて、思わず溜息をついた。こういうのが映画を観る愉しみだよなあ。眼福眼福。モニカ・ヴィッティの気狂いぶり・美しさも素晴らしかったです。ゴゴオオー。
店はさすがにゴールデンウィークで、それなりに忙しい。さあ、頑張らなくては。でもヘルツォークにも行きたい…。
小川顕太郎 Original:2001-May-5;