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 Diary 2001・7月9日(MON.)

マッカーサー

 ビデオで『マッカーサー』(1977 年製作/グレゴリー・ペック主演)を観る。映画としては失敗作に近く、つまらない出来だったが、他の意味で面白かった。なんといってもマッカーサーは敗戦後の日本に王として君臨し、日本社会を改造・日本人を洗脳した張本人なので、その彼がどのような人間であったかを観るだけでも興味深い。マッカーサーを演じたグレゴリー・ペックは、頭のてっぺんの禿げまで似せて好演したようで、かなりマッカーサー本人に似ている、という話しだ。

 マッカーサーは、芝居がかったナルシストで、非常にエゴの強い人間だったようである。第二次大戦終了後、アメリカに勝利をもたらした英雄として、マッカーサーの人気は異常に高まる。誰もが次の大統領はマッカーサーだと思い、本人もそのつもりだったが、意外にも彼は大統領になれなかった。何故か。それは、この映画でははっきりと描かれていないが、アメリカの支配者層に嫌われたからだ。マッカーサーはシーザーだ、と。

 民主制の欠点は、常に衆愚政治に堕する危険があることだ。衆愚政治に堕すると、民衆の人気を一身に集めた独裁者が出現する。独裁者が国を統治するようになると必ずその国は滅ぶ、だから独裁者は殺さなければならない、というのが、ローマ時代から培われた叡智である。故にシーザーは殺された。ケネディも、多分それで殺された。マッカーサーは、大統領にならなかった(なれなかった)ので殺されなかった。なっていたら、多分、殺されていただろう。

 ところで、今の日本も、ワイドショー内閣と言われている事からも分かるように、ほとんど衆愚政治に堕している。そして小泉首相という、異常に人気のある権力者を産み出している。…え? 彼はシーザーかって? んな訳ないと、私は思うのだが、今週の土曜日 14 時 45 分から京都市役所前広場で、小泉首相の演説会があります。で、もうすぐ祇園祭りという事もあって…へ? ブルータス? ダラスの熱い日??? …なんだか物騒ですな。平和にお願いします。それにしても店が暇です。

小川顕太郎 Original:2001-Jul-10;