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 Diary 2001・1月20日(SAT.)

科学に詳しい
友人が欲しい

 朝起きると、外は一面銀世界だった。たまらん。私は今日は遅番なので、トモコを送り出した後、部屋の中を暖かくして寝っころがって、量子力学の本を読む。こういった科学の本を読んでいると、本に書かれる以前の基本中の基本が分かっていない私は、いつも隔靴掻痒の思いにとらわれる。書かれてある事は、まあなんとなく分かるけれど、それ以前の事が分からない! とイライラするのだ。

 例えば、量子力学の本では、電子は粒子でもあり波でもある、という基本テーゼを示すのに、2 スリットの実験というのがよく載っている。これは板に二つのスリット(すきま)を隣接して開け、そこに電子をひとつずつ、たくさん打ち込む、という実験だ。そして板の向こう側においたスクリーンに電子が到達した場所・位置の分布を調べるのだ。すると分布図はきれいな干渉縞になる。干渉縞が出来るのは波の性質なので、電子は粒子でかつ波である、というのだ。

 なるほど。それは、分かる。が、そもそも電子が粒子でかつ波ならば、最初の「電子をひとつずつ打ち込む」とはどういう意味なのだろうか。波ならば「ひとつずつ」という考え方は成り立たないので、これは最初は電子を粒子とみなしている事になる。じゃあ、まずどうやって電子を粒子とみなしたのか? この「電子をひとつずつ打ち込む」機械とは、どのようなものなのか? といった事が気になる。多分、圧力かなにかをかけて原子を崩壊させ、飛び出した電子を捕捉したら点だったので電子は粒子だ、とかいうのだろうが、そんなふうに観察できるものなのか? とか、あやふやな知識のままで妄想が膨らむ。

 そういえばアインシュタインの光子説が、それまで波と思われていた光を粒子とみなしたんだっけ。あれは何故だったかな…などなどなど。こんな事は詳しい人に訊けばいっぱつで答えてくれるのになあ、と嘆息する。科学に凄く詳しい友人が欲しい、と心底思う。とりあえず明日、ショウヘイくんかババさんに訊こう。

 雪が溶けかけてドロドロになった道を難渋しながら通って店に行く。寒すぎて、基本的に店は暇だ。聞けば夕方に、雑誌 SPA!による宮沢章夫氏のインタビューが、オパールで行われていたそうだ。私が家で「シュレディンガー方程式ってどんなんや!」と、のたうっていた頃だ。

 夜はまったり過ぎていく。12 時前には、ババさんを除いてお客さんが誰もいなくなって、もう終わりや終わりや、と騒いでいたら、何故かアレヨアレヨというまにお客さんで席が埋まった。これは、珍しい。なんとか週末っぽく、かっこうがついた。

 最後のお客さんのベッチを送り出し、店を閉める。

小川顕太郎 Original:2001-Jan-22;