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 Diary 2001・12月26日(WED.)

名前

 ユキエさん来店。その過酷なケーキ作りの日常の話を聞いて、横に座ったタケダくんが笑い泣きする。それでも当のユキエさん本人は「フフフ、でもクリスマスが終わったから、もういいんです♪」と、いたって平穏な顔つきだ。泣いていたタケダくんが「それは良かったですねえ…でも、確かお正月もメチャメチャ忙しかったんじゃなかったでしたっけ?」と問うと、ユキエさんは顔をひきつらせて、「お、思い出させないで下さい!!!」と叫ぶ。

 かように大変な日常を送るユキエさんだが、本日はオパール特製カップ & ソーサーを購入し、ニコニコ顔だった。これを部屋に飾るんです! と、はしゃぐユキエさんに対して、私は思わず「お父さんに名前を書かれないように、気を付けてね」と言った。そう、ユキエさんのお父さんは、家中のものに名前を書く事で有名なのであった。

 ユキエさんによると、ユキエさんのお父さんは、冷蔵庫や電子レンジ、電話、机、などに、油性ペンで名前や購入場所・購入年月日などを書きまくっているという。私はその話を聞いて、寺山修司監督の「さらば箱船」を思い出した。なんでもかんでも忘れてしまう主人公(山崎努)が、家中のものに名前を書く。電話には「電話」、自分には「俺」とか。そんな感じか?

 ところがそれを横で聞いていたマキさんが、「あ、でも昔の人って、家具に名前を書きがちかもー。私の祖父も、確か書いていた」という。そうなのか? でも確かに、古道具屋さんにある昔の机とかは、裏にマジックで数字が書いてあったりする。あれは購入年月日か。うーむ、いったいどのような目的・意味があるのだろうか。

「でも、裏とか目立たない所ならいいですが、うちの父は冷蔵庫の真正面とかに大書するんですよー」と、ユキエさん。それは変だ。あ、そういえば『自虐の詩』の主人公ユキエの父も変な人だった…。

 本日は結構忙しかったですー。

小川顕太郎 Original:2001-Dec-28;