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 Diary 2001・4月14日(SAT.)

左翼の人々

 マツヤマさん来店。「あれえ、なんでここには『噂の真相』みたいな左翼雑誌が置いてあるの? 『SAPIO』を置こうよ、『SAPIO』を」と言う。いやあ、その、なんというか、オパールに置いてある雑誌というのは、基本的にお客さんが持って来てくれたものか、雑誌社が送って来たものなんですね。だから『噂の真相』とオパールは、別に関係ありません。ううん、じゃあ『諸君!』でも置きますか。

 マツヤマさんは『噂の真相』とかが大嫌いのようだ。だから当然、田中康夫も嫌い。私は、『噂の真相』にしても田中康夫にしても、好きという訳ではないが、嫌いという訳でもない。もちろん、私の立場は右寄り・保守であって、このことを撤回する気はないが、左翼的なものを一様に嫌いな訳でもない。左翼の人達のなかにももの凄く好きな人がいる。大西巨人なんかは今一番好きな人だ。柄谷行人もいい。浅田彰になると、まあ普通。浅田彰は、もの凄く頭はいいんだろうけど、どうも面白みにかける。で、趣味が悪くて、物事を見る目がない。つまり、分析的な知性は凄くあるんだけれど、物事の本質を掴んだり、なにかを創造する能力に劣る、というのが私の浅田彰に対する評価だ。私はなにか突拍子もない、過剰な人が好きなのだろう。それでもお前は保守か? と言われるかもしれないが、私の大好きな小室直樹はバリバリの右翼でかつ突拍子のなさが服を着ているような人だ。過激な保守、というのが理想かな。あらら、私はいったい何を書いているんだ。

 で、浅田彰の盟友の田中康夫になると、浅田彰のような鋭さがなくて、ほんとに「愚鈍な左翼」といったかんじで、ちょっと勘弁してもらいたい、というのが本音なのだけれど、このたびの田中康夫の長野県知事就任は、実はひそかに応援していたりする。日垣隆の『偽善系 II』にも書いてあるけれど、田中康夫が就任するまでの長野県知事はほんとに酷かったので、この知事とその一派を痛撃できただけでも偉い、と思ってしまう。また、愚鈍な左翼ゆえに、情報公開など様々な改革をすすめていくだろうし、それも楽しみだ。まあ、こんな感じですよ、マツヤマさん。

 ところで、『SAPIO』といえば、あの小林よしのりが連載しているんじゃないですか? 私は、『ゴーマニズム宣言』の初期の頃はかなり好きで読んでいましたけど、途中からそのあまりの独善ぶりに嫌気がさして、今は大嫌いなんですけど。マツヤマさんはどうなんですか?

「僕も同じだけれどね。だけど、今はあまりにもイッちゃってて、かえっておかしい。許せるかんじだよ」

 そうですか。じゃあ、置きますか、『SAPIO』。

小川顕太郎 Original:2001-Apr-9;