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 Diary 2000・11月13日(MON.)

Northern Soul
Top 500

 店に行こうと家を出て、郵便受けを覗くと、外国からの荷物が届いていた。これはもしや、と思いながら封を切ると、案の定それは『Northern Soul Top 500』だった。インターネットを通じてゴールドマインに注文したノーザンソウルの本。注文しても梨の礫で、すっかりうまく注文出来なかったのだろうと思いこんでいたのだが、なんだちゃんと出来ていたではないか。注文の確認くらいとれよゴールドマイン、などと野暮な事は言わずに、ウキウキしながらその本を持って店に向かう。

 それにしても素晴らしい本だ。ノーザンソウルのシングル 500 枚が、写真と解説と現在の推定価格付きで載っている。ノーザンソウルに関する情報なんてほとんど日本にはないので、凄くありがたい。

 フランク・ウィルソンの『DO I LOVE YOU』なのだが、この世界に 3 枚しかないと言われる…あれ? 世界に 2 枚しかないと書いてあるぞ、ううむ、まあとにかくこの世界に 2 枚しかないと言われるシングルがどのように発見され、どのような人々の手をどれぐらいの値段で経て、現在どうなっているか、という事が書いてある。え? そんな事を知ってどうするかって? それは野暮な質問というものでしょう。何にもしません。

 その他にも「ベストダンサー・トップ 10」とか「今はみんな欲しがっているけれど 70 年代には誰も欲しがらなかったシングル・ベスト 10」「70 年代はみんな欲しがったけど今は誰も欲しがらないシングル・ベスト 10」とかが載っていて、楽しめる。

 またギル・スコット・ヘロンの『THE BOTTLE』とかが載っているのだけれど、ギル・スコット・ヘロンがノーザン? と意外の感に打たれたりもする。よくイギリスのノーザンソウルシーンの特異さとして、ポール・アンカの人気がある事があげられたりするけれど、これはその人気がある曲、ポール・アンカの『I CAN'T HELP LOVIN' YOU』を聴けばそれほど変な事ではないと分かる。この曲は、まるでパロッたかのように典型的なノーザンソウルなのだ。歌っているのがポール・アンカだというだけ。それに較べて、ギル・スコット・ヘロンの『THE BOTTLE』は曲調はとてもノーザンとは思えない。勿論、曲はとてもかっこよくて私も大好きなのだが、いや待てよ、言われてみればこの曲の後ろに流れているのはノーザンビート……、などと楽しみはつきない。

 この本をショウヘイくんに見せれば、アイズレー・ブラザーズの写真を見て悶絶していた。格好良すぎるのだ。格好良すぎてちょっとおかしくもあるけれど、それもまたソウル、という事で、ノーザンソウルに興味がない人も充分楽しめる、万人向けの本だ。というのは言い過ぎです。でも最高。

 夜はババさんと柄谷の NAM について話す。ババさんはちゃんとマルクスの『資本論』を読んでいるので、柄谷のマルクスの引用の仕方がかなり恣意的ではないか? と疑問を投げかける。私は『資本論』を読んでいないので、そこら辺は何ともいえない。柄谷は「可能性の中心」を探る人ですからねえ、と答えておく。しかし、新潟のモッズ君達も『資本論』を読んでいるという話なので、私もいずれは読まねばならんだろう。ああ、読む本が多すぎて困る。とりあえずは『Northern Soul Top 500』を、読みましょう。

小川顕太郎 Original:2000-Nov-15;