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Salaryman technocut

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最 初 に

 これはその昔「ショートカット」というミニコミに私が連載していたものである。「ショートカット」とは、有名無名とりまぜた様々な人達が書いた原稿を桜井通開という人が編集したミニコミ誌で、コピーした紙をホッチキスでとめただけのシンプルな体裁でありながら、内容的には凡百の商業誌をはるかに上回るものであり、当時の私は日本で一番面白い雑誌だと固く信じて疑わなかった。

 その頃の私はサラリーマンであり、いつまでも会社勤めを続ける気はなかったものの、辞めるめどもたたず、ぐずぐずいらいらと中途半端な気持ちで毎日を過ごしていた。そんな私を活気づけ、遂には退社にまで至らせたのがこの連載である。大袈裟なようだが、実際のところ人間というのは、自ら行動を起こさないかぎり、決してなにも変わりはしないのだ。ショートカットに書くことによって、私は確実に変わった。無論ショートカットがそれだけの力を持つメディアであったのも忘れてはならないことだが。

 「テクノ」がキーワードになっているのは、当時の私がテクノにはまっていたのもさることながら、私にとってテクノもショートカットも同義だったからだ。それは新しい生活=新しい倫理を意味し、私は必死にそれを模索し、それを生きようとした。その血のしたたるような格闘の一部がこの連載に表われている。その分、今読み返すと恥ずかしい箇所が多々あるが、こういうものはそのまま放り出すのが一番だと、読みやすいように句読点を少し付け加えた以外は、一字一句そのまま掲載することにした。

 ショートカットの古い号は全て絶版になっているはずなので、この文章を他で読むことは非常に難しいはずである。まあ、読めなくなっても一向に差し支えない文章なのかもしれないが、今回読み返してみて、やはり残しておいてもいいかと少し思った。何人かの人にとっては強烈に面白いのではないかと、ちょっぴり思ったのだ。そういうわけなので、このたび再掲載を快諾してくれた桜井さんに謝意を表わしたいと思う。

 なお、なにぶん古い文章なので、全ての回ごとに解説をつけることにした。併せて読ん で貰いたい。

小川顕太郎


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