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Text by 小川顕太郎
2006年01月16日(Mon)

“Aツアー”後編
旅行

 次に我々が向かつたのは、メイドリフレ。が、生憎全室埋まつてゐて、空くのは1時間後になるといふ。「ぢや、それで」と01くんはサッサと予約をして、次なる店へ向かつた。なるほど、このやうにメイドの店をハシゴするんだな。

 次に我々の行つたのは“JAM”といふ店。ここで、あの有名なオムライスを食べることにした。オムライスの上に、メイドさんがケチャップで希望の言葉や絵を描いてくれるといふ、あれだ。名前は“妖精の萌え萌えオムライス”。「ま、これもイベントのひとつです」と01くん。

 私と01くんが注文したのだが、先に私の分がくる。といふか、01くんが私のところに先に置くやう指示したのだ。

「何かご希望の言葉はありますか〜」

 う、何も考へてゐない。て、いふか、どんな言葉を言つたらよいのやらサッパリ分からない。何でも好きな言葉を、と01くんは横からアドバイスしてくれるが……んんんー、ぢや、“尊皇”で。

「そんのう? それは、平仮名ですか?」

 いや、ま、平仮名でもいいんだけど。

「漢字でも書けますよ」

 ぢや、漢字でお願ひします。

「えーと、“そんのう”の“そん”は手偏ですか?」

 てへん? …い、いや、その“損”ぢやなくて、尊敬の“尊”です。

「はーい、わかりましたー」

妖精の萌え萌えオムライス image  と、“皇”の字でも些か戸惑つたけれど、何とか無事に“尊皇”といふケチャップ文字が、オムライスの上に踊つた。ここでホッとしたのも束の間、このメイドさんは私の意表をつく行動に出た。キッとケチャップを構へ直すと、ダダダ〜と、“尊皇”の文字の周りを花びら模様で囲つたのである! す、凄い。私は茫然と感動してしまつた。**ちゃん(メイドさんは名札をつけてゐる)、君は凄いよ! 私もなんだか、メイドカフェに通ふ人の気持ちが分かつたやうな気がするよ。大満足だ。では、いただきまーす。パク。……不味い。

 時間になり、メイドリフレ“Melty Cure”に来る。ここは自称“英国式メイドリフレクソロジィ”ださうで、他のメイドリフレは圧倒的に足マッサージ主体のところが多いのだが、ここは手マッサージが主体である。

 個室に案内され、マッサージチェアに身を横たへる。メイドさんの自己紹介があり、靴下を脱がせてくれて、足湯をする。ハーブティーをいれてくれ、まづはオプションの足マッサージから……。ま、マッサージの技術なんて無いに等しい。要するに、メイドさんと触れあつて、それによつて癒される、といふ仕組みだらう。だから会話が中心になるのだが、なにせ昨晩は徹夜で、さらに朝から一日中歩き回つてゐたので、激しい睡魔が襲つてきて仕方がない。が、寝てしまふのは悪いやうな気がして、必死にメイドさんの話に相槌を打ち続ける。いや、私もこれでもサービス業に従事する人間ですから……。ちなみに私の担当のメイドさんは、先程のメイドカフェの女の子のやうに如何にもコミケに通つてゐます、といつたタイプの娘ではなく、ごく普通の女の子。昨年、田舎から上京してきたさうだ。「親にはとてもメイドをやつてゐるなんて言へないですよー」とのこと。うむ、**ちやん、都会の波に飲み込まれないやうにね。

 実はこれらの店を廻つてゐる合間に、“2ちゃん”のキャラクター商品を売つてゐる店や、フィギアの店、武器を売つてゐる店、など、メイド以外のアキバな店の数々も01くんに連れていつて貰つた。ほぼ完璧な“Aツアー”。01くんには大感謝です。今度はまた京都で会ひませう。

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